動画編集者がAIのサブスクに課金しづらい現実
動画編集者が、月3,000円前後のAIツールに課金しづらい理由。
これは、単純に「AIに興味がないから」ではないと思っています。
むしろ、動画編集者ほどAIに興味はある。
ただ、すでに固定費が重いんです。
PC代、編集ソフト代、スクール代、素材サイト、プラグイン。
動画編集を始める時点で、すでにそれなりのお金がかかっています。
特にPremiere Proなどの編集ソフトは毎月費用がかかりますし、PCも分割で買っている人が多い。スクールに通っている人であれば、その支払いも固定費になります。
そんな中で、さらにChatGPT、Claude、Gemini、Cursor、OpenClaw……とAIツールに課金するのは、心理的なハードルがかなり高い。
僕自身も、半年前はAIに関してほぼ素人でした。
本格的にAIをキャッチアップし始めたのは、去年の11月頃。
当時は「ChatGPTとGemini、どっちに課金すればいいんだろう」というレベルでした。
そして2週間悩んだ結果、両方に課金するという、今思えば一番よくわからない選択をしました…笑
そこから半年間、ChatGPT、Gemini、Claude、Claude Code、Cursor、Codex、Antigravityなど、かなり多くのAIツールを実際に触ってきました。
その中で感じたのは、動画編集者にとってAIは「編集作業そのものを全部自動化してくれる魔法のツール」では、まだないということです。
動画編集は、意外と感覚的な部分が多いです。
1フレーム単位の違和感、間の取り方、テロップの出し方、BGMとの噛み合わせ。
こういう部分は、まだAIが苦手な領域だと感じています。
もちろん、画像生成やサムネイルのたたき台作り、構成案、台本、フィードバック整理、案件管理などにはかなり使えます。
でも、「AIに課金したら編集時間が半分になります!」みたいなわかりやすい成果が出る人は、まだそこまで多くない。
だからこそ、動画編集者はAIツールに月3,000円払っても、
「これ、元取れてるのかな?」
と感じやすいんだと思います。
実際、動画編集界隈にいると、まだまだ「AIは補助ツール」という感覚が強いです。
サムネイルでも、完全にAIで完結するというよりは、デザイナーさんに依頼する前のイメージ共有として使う。
編集でも、全部AIに任せるというより、構成や改善案を出してもらう。
これが、今の現場に近いリアルな感覚です。
一方で、AI界隈では「もう動画編集者はいらない」といった強めの発信もよく見ます。
でも、動画編集の現場に身を置いている立場からすると、そこまで単純ではありません。
AIで代替される部分は確実に増えます。
ただ、動画編集そのものが完全に不要になるには、まだ時間がかかると思っています。
※ AIの進化は凄まじいので、3ヶ月後に全然違うこと言ってる可能性あります
だからこそ大事なのは、焦って全部に手を出すことではなく、自分の業務に合うAIの使い方を見極めること。
僕自身、最初はかなり迷走しました。
動画編集サロン内で「やなぎのAI勉強会」をボランティアで始めた頃は、正直かなりグダグダでした。
アンケートでも、
「学びが少なかった」
「もっと深い内容を期待していた」
「スライドがわかりづらかった」
といった、なかなか辛辣な意見ももらいました。
それでも毎月1回は必ず開催すると決めて、11月、12月、1月、2月、3月と続けてきました。
Nano Bananaでサムネイルを作ったり、AIでテロップを入れてみたり、Claudeとスプレッドシートを連携して案件管理を作ったり、Claudeがなぜ話題なのかを解説したり。
マス向けの内容から、少しマニアックな内容まで、色々試してきました。
その中で気づいたのは、アウトプットの場があると、インプットの質が上がるということです。
人に話す以上、適当なことは言えません。
だから調べる。触る。試す。失敗する。改善する。
この繰り返しが、自分のAI理解をかなり深めてくれました。
そして今月末からは、サロン内で「AI研修会」として、公式に開催することになりました。
半年前はChatGPTとGeminiの違いもわからなかった自分が、今ではClaude CodeやCodexを日常的に使い、Mac miniを遠隔で動かしてAI環境を作るところまで来ました。
この半年で思ったのは、AIは「お金をかければ勝てる」ものではないということです。
もちろん、経営者のように大きな予算を使って、最新AIをどんどん試せる人は強いです。
でも、動画編集者には動画編集者なりの戦い方があります。
限られた予算の中で、どのツールに課金するのか。
どこで元を取るのか。
どの作業にAIを使えば、自分の時間や収入につながるのか。
ここを考えることが大事だと思っています。
僕は今、動画編集者が再現性高くAIを使える方法を発信していきたいと思っています。
「AIで楽に稼げる」ではなく、
「動画編集者が現実的にAIをどう使えばいいのか」。
派手さはないかもしれません。
でも、本当にAIを使いこなしたい人に届けばいい。
だからこそ、今はSubstackでの発信に力を入れています。
YouTubeやショート動画も魅力的ですが、伸ばそうと思うと、サムネ、音声、編集、企画、構成、導線など、考えることが多すぎる。
アウトプットに時間をかけすぎると、肝心のインプットや実践の時間が減ってしまう。
その点、音声や文章は、自分の考えをかなりリアルに出せる。
AIで整えることはできても、実際に触ってきた経験や、その時の迷い、失敗、違和感まではごまかせません。
だから僕は、これからも動画編集者目線で、AIとの向き合い方を発信していきたいです。
動画編集者は、AIに課金しづらい。
でも、だからこそ、ちゃんと選ぶ力が必要になる。
全部追う必要はありません。
まずは1つ選んで、使い倒す。
そして、自分の仕事の中でどう活かせるかを考える。
AI時代に大事なのは、最新ツールを全部知っていることではなく、
自分の現場に落とし込めることだと思っています。


